クリストフ・フォン・ドホナーニ+クリーヴランド管弦楽団のブルックナー選集を手に入れました その1:交響曲第7番の印象

Amazonのカスタマーレビューで3人のレビュワーが絶賛していたのが気になって、このクリストフ・フォン・ドホナーニとクリーヴランド管弦楽団ブルックナー選集を入手してみました。

今日は交響曲第7番を聴いています。

少しゆっくりめのたいへん丁寧な演奏で、驚きました。このようなブルックナーを聴いたのは初めてです。オーケストラの音は澄んでいて、ひとつひとつの音符をくっきりと洗い出すかのように、音楽は進んで行きます。おかげで交響曲の構造がよくわかり、とてもおもしろいです。

淡白、と言うのでしょうか。丁寧な演奏なのですが、ねっとりとしている訳ではないのです。重い演奏でもありません。カラヤンなどは、逆の意味でねっとりとしていて重いブルックナーだと思います。美を強調しようとするあまり、重くなってしまう、と言えばいいのでしょうか。

そのような感じなので、弦の合奏でも音はしなやかで軽く、聴いていて疲れず、ひたすらに心地よく、風通しの良い、素晴らしい演奏だと思います。音を重ねても、決して重くならない。

ブルックナー交響曲の中でも、7番は特に構造がわかりやすいと私は思うのですが、それ故に、ドホナーニ+クリーヴランド管の、透き通ったしなやかな演奏が、ぴたりと曲に嵌って絶妙な第7番になっている、と感じるのです。

ぎらぎらとした、色彩の濃いブルックナーではなく、淡色の、丁寧に描き込まれた水彩画のようなブルックナーがここにはあります。私は、まだすべての演奏を聴いた訳ではありませんが、ドホナーニのこの選集を手に入れてよかったと思っています。確かに一般的なブルックナーではありませんが、これはこれでいいと直感します。

ブルックナーには、マーラーのような「新しさ」は確かに無いかも知れませんが、ブルックナーだけの「美しさ」は確実にあると思います。それだけで十分ではないか、とさえ感じるのです。皆さんはいかがですか?

このセットは3番から9番までの選集ですが、明日以降、聴き進めていくのがとても楽しみです。