寝落ちして寒々とした職場にいます

後30分程で、職場の歓迎会が始まります。私はパーティが苦手なので、いつもサボりまくっているのですが、今日も出席しません。その代わり、音楽を聴いて、伸び伸びしてから帰ろうと思い立ちました。こう言う時はブルックナーの独壇場です。傍らのCDの山からゲルト・シャラーの全集を取り出し、5番を選んでパソコンにポン!しばらくすると、荘厳とも神妙とも聴こえる第1楽章のあの旋律が、イヤフォンから私の耳に流れ込んで来ます。

いつもそうなのですが、私は疲れるとブルックナーを聴きたくなるのです。癒しの効果があるのでしょうか? マーラーバルトークは、かなり精神力がないと私には聴けません。まあ、これは私だけの特性のようですので、誰にも迷惑は掛かっておらず、安心ですが。

などと言っている間に、第2楽章になりました。弦の、あの美しい合奏が聴こえて来ます。私のくたびれたこころに、ブルックナーがぐっと流れ込んで来る瞬間です。

マーラーと比べても、ブルックナーの音楽には「手放しの美しさ」があるような気がします。天真爛漫な輝き、とでも言えばいいのでしょうか。中でも今聴いている5番は、火照ったこころに、涼風のような爽やかさを吹き込んでくれるのです。

今、ジャケットに書いてある演奏時間がたまたま目に入って来ました。72分! いろいろな5番があるなかでも、長い方だと思います。それでもゲルト・シャラーの演奏は、間延びしている訳でもなく、きびきびさくさく、それでいてゆったりとした印象を残しながら進んで行きます。

終楽章になりました。寝落ちしてしまいそうです。癒しの音楽なら、聴くのはやはり自室に限りますね。こころが恍惚となって来ます。果たして帰宅できるのでしょうか?